全社員が大切にする考え方である「グローカル フィロソフィ」を公開いたします。

0.ビジョン

グローカルマーケティング株式会社は、全社員の物心両面の幸せを追求すると同時に、地域創造カンパニーとして在り続けます。

1.自ら明かりを灯す ~花火を打ち上げる側に立つ~

 1945年8月1日午後10:30、私の故郷である新潟県長岡市の上空にアメリカの爆撃機B29が来襲し、長岡市内は火の海となりました。市内の8割が焼野原となり、148 6名以上の方がお亡くなりになりました。先の大戦後の廃墟の中から、私達の先人は苦渋の努力を積み重ね、現在の長岡市を築き上げました。
 長岡に限らず、今の日本があるのは先人達の絶え間ない努力の賜物であり、まず先人達に感謝の念を持って日々過ごさなければなりません。

1946年8月1日、長岡市では戦災からの復興を成し遂げるためには市民の心を一つにしようと長岡復興祭を執り行いました。そして、1947年8月1日から現在に繋がる長岡大花火大会が始まりました。今では多くの観光客で賑わう長岡の大花火大会、これは、長岡の復興のために長岡の市民の心を一つにし、復興への決意を新たにしようと始めたものなのです。

 私は幼少の頃から長岡の大花火大会を観て過ごしました。観るたびに私達を感動させる花火ですが、いつしかこう想うようになりました。
 「花火を観て感動するのも良いが、花火を上げる側に立ち、人々を感動させるような、そんな人間になりたい。」
「長岡の先人達が長岡花火を上げ、長岡に明かりを照らしたように、自分も故郷に明かりを灯せる人間になりたい。」
「これからの人生、どんな困難に陥っても、焼野原から長岡を復興させた先人達の心があれば、困難に屈することはない。」

 社会を良くする、地域を良くする、会社を良くする、家庭を良くする、全て人のやることです。自ら明かりを灯す姿勢のことを「主体性」と言います。当社では、この「主体性」を最も重要な行動基準にします。

マザー・テレサはこのように言っています。

「自ら明かりを灯しなさい。誰かがやるだろうということは、誰もやらないということを知りなさい。」

社会を良くするのは、地域を良くするのは、会社を良くするのは、間違いなくあなた自身です。

主体性を軸に考えると人間には5つのタイプがあります。
①自燃型  常に主体性を発揮し続ける人
②可燃型  人から刺激を受けると主体性を発揮する人
③不燃型  どんな刺激を受けても主体性を発揮しない人
④点火型  人に刺激を与え、主体性を発揮するよう導く人
⑤消火型  人の主体性を削ぐ人

 当社の社員は、①の自燃型と④の点火型でなければなりません。自燃型の人間になるにはどのようにすればよいか、それは④点火型の人から常に刺激を受け続けることです。人間の心は、筋肉と同じで刺激を受け続けると燃えやすい体質になります。点火型の人と会い、読書で偉人の心と出会い、セミナー・講演等で毎日のように刺激を受けていると、いつしか自燃型の人間となり、今度は自分自身が人に刺激を与えることができる点火型の人間となります。

2.豊かな地域を創造する

日本において、地域経済・地域社会の活性化が求められています。首都圏への人口や経済の一極集中が続き、地方は人口減少や経済低迷が続いています。
 私は、地域の活性化こそ、日本の経済・社会の活性化には不可欠と考えます。
『地域の活性化が新日本創造の原動力になる!そして日本が世界を豊かにする!』  これがグローカルマーケティングの信じる道です。
 私達は、地域の活性化とは「地域で幸せに暮らす人が一人でも多く増えること」と定義づ   けます。あなたの愛する地域で、笑顔で暮らし、やりがいを持って仕事に当たり、幸せを感じて暮らす人々が増え、幸せの連鎖が広がっていくことが、真の地域の活性化です。
 私達は、そのために仕事をします。そのために当社が存在します。
「グローカルマーケティング」というフィールドで、あなたの愛する地域をあなたの手で創造し、あなたの手で豊かにしてください。

3.地域創造カンパニーとして在り続ける

「地域創造」は「地域貢献」とは異なります。貢献とは、結果として社会や誰かの役に立ったというニュアンスを感じますが、私たちは貢献だけでは満足しません。私たちが地域を豊かにする、私達が地域で暮らす人々を幸せにする、つまり当社は地域を「創造」していきます。

 私は、私自身が地域創造をしたいという想いはありますが、それ以上に、地域創造カンパニーを創りたいという想いがあります。人の命は限られています。私の命もいつ燃え尽きるかわかりません。地域の創造は、日本が豊かであり続けるために永遠に必要になると考えます。地域にあり続け、地域を創造し豊かにし続ける会社を私は創りたい。そのためには、一人でできることには限界があります。だからこそ、組織を創り、地域創造カンパニーとして在り続けたいと強く願います。
 カンパニーとはラテン語で「共にパンを食べる仲間」という意味があるそうです。志を同じくし、同じ釜の飯を食べる仲間と共に、地域創造カンパニーを創っていきましょう。

※英語の「Company」は、ラテン語の「com(共に)」、「panis(パンを食べる)」の合成語に仲間を現す「-y」が付いた語で、「共にパンを食べる仲間」という意味か   らきている。

4.社員の物心両面の幸せを追求する

グローカルマーケティングの社員は、地域創造の志を共にする同志であり家族です。当社 の第一目的は、社員が幸福を感じられることです。当社は地域創造により地域を活性化する、つまり地域で幸せを感じて暮らす人を一人でも多く増やすことをビジョンとしていますが、そこで働く社員が幸せを感じていなければ、地域の人々を幸せにすることはできません。
 特に当社では「働きがい」こそが幸せの源となると考え、働きがいのある会社づくりを徹底して追求します。

5.学び続ける

「あなたの人生で一番学んだ時期はいつですか?」と聞かれたら、どのように答えますか? 私は常に自信を持ってこう答えます。

「私は、人生で今一番学んでいます。」

 学びというのは、学生時代や新入社員の時だけにすることではありません。人間として成長し、プロフェッショナルとしてお客様のお役に立ち、地域創造の一翼を担う人財となるには、学び続けることが必要です。
 私達は様々なものから学ぶことができます。日々の仕事を通じて、書物を通じて、セミナー・研修を通じて、人と会う事を通じて。常に学ぶ姿勢を持ち、今一番学んでいると胸を張って言えるよう日々誰にも負けない努力をしていくことを当社の社員に求めます。

私が尊敬する経営者の一人であり、伯父である原信一氏が座右の銘としていた言葉を胸に刻んで生きていきます。

『若くして学べば壮にして成す。壮にして学べば老いて衰えず。老いて学べば死して朽ち   ず。言誌録      佐藤一斉(儒学者)

6.心を高める

学ぶということは、知識・スキル・ノウハウの向上を図るだけではありません。自らの心を高める、自らの人間性を磨いていくことも学ぶということです。私は、人間の在り方を松下幸之助氏や稲盛和夫氏をはじめとする人生で素晴らしい成果を残された先人達から学んでいます。心を高めていくために必要なことを以下、稲盛和夫氏の言葉を借りてお伝えします。

①愛と誠と調和の心をベースとする

 人生においても仕事においてもすばらしい結果を生み出すためには、ものの考え方、心のあり方が決定的な役割を果たします。
 人を成功に導くものは、愛と誠と調和という言葉であらわされる心です。こうした心は、私たち人間がもともと魂のレベルでもっているもので、「愛」とは他人の喜びを自分の喜びとする心であり、「誠」とは世のため人のためになることを思う心、そして「調和」とは自分だけでなくまわりの人々みんなが常に幸せに生きることを願う心です。
 この愛と誠と調和を尊ぶ心から出てくる思いが、その人を成功に導いていく基盤となるのです。

②きれいな心で願望を描く

 きれいな心で描く願望でなければ、すばらしい成功は望めません。強い願望であっても、それが私利私欲に端を発したものであるならば一時的には成功をもたらすかもしれませんが、その成功は長続きしません。
 世の道理に反した動機に基づく願望は、強ければ強いほど社会との摩擦を生み、結果的には大きな失敗につながっていくのです。
 成功を持続させるには、描く願望や情熱がきれいなものでなければなりません。つまり、潜在意識に浸透させていく願望の質が問題となるわけです。そして、純粋な願望をもって、ひたすら努力を続けることによって、その願望は必ず実現できるのです。

③素直な心をもつ

 素直な心とは、自分自身のいたらなさを認め、そこから努力するという謙虚な姿勢のことです。
 とかく能力のある人や気性の激しい人、我の強い人は、往々にして人の意見を聞かず、たとえ聞いても反発するものです。しかし、本当に伸びる人は、素直な心をもって人の意見をよく聞き、常に反省し、自分自身を見つめることのできる人です。そうした素直な心でいると、その人の周囲にはやはり同じような心根をもった人が集まってきて、ものごとがうまく運んでいくものです。
 自分にとって耳の痛い言葉こそ、本当は自分を伸ばしてくれるものであると受けとめる謙虚な姿勢が必要です。

④常に謙虚であらねばならない

 世の中が豊かになるにつれて、自己中心的な価値観をもち、自己主張の強い人が増えてきたといわれています。しかし、この考え方ではエゴとエゴの争いが生じ、チームワークを必要とする仕事などできるはずはありません。
 自分の能力やわずかな成功を鼻にかけ、傲岸不遜(ごうがんふそん:おごりたかぶって人を見下すさま)になるようなことがあると、周囲の人たちの協力が得られないばかりか、自分自身の成長の妨げになるのです。
 そこで集団のベクトルを合わせ、良い雰囲気を保ちながら最も高い能率で職場を運営するためには、常にみんながいるから自分が存在できるという認識のもとに、謙虚な姿勢を持ち続けることが大切です。

⑤感謝の気持ちをもつ

 社内に人の和がないと、お客様に喜んでいただける商品・サービスは提供できません。なぜなら商品・サービスにはそれをつくる人の心が反映されているからです。ところが「オレがオレが」といった利己的な考え方では、社内に和をつくっていくことはできません。
 私たちが今日あること、そして存分に働けることは、お客様や取引先はもちろん、職場の仲間、家族といった周囲の多くの人々の支援があるからこそです。決して自分たちだけでここまでこられたわけではありません。
 このことを忘れず、常に周囲への感謝の気持ちをもち、お互いに信じあえる仲間となって仕事を進めていくことが大切です。

⑥常に明るく

 どんな逆境にあっても、どんなに辛くても、常に明るい気持ちで理想を掲げ、希望をもち続けながら一生懸命努力を積み重ねていくことが偉大な今日をつくります。
 人生はすばらしく、希望に満ちています。常に「私にはすばらしい人生がひらかれている」と思い続けることが大切です。決して不平不満を言ったり、暗くうっとうしい気持ちをもったり、ましてや人を恨んだり、憎んだり、妬んだりしてはいけません。そういう思いをもつこと自体が人生を暗くするからです。
 非常に単純なことですが、自分の未来に希望をいだいて明るく積極的に行動していくことが、仕事や人生をより良くするための第一条件なのです。

⑦仲間のために尽くす

 人の行いの中で最も美しく尊いものは、人のために何かをしてあげるという行為です。人はふつう、まず自分のことを第一に考えがちですが、実は誰でも人の役に立ち、喜ばれることを最高の幸せとする心をもっています。
 かつて、真冬のアメリカで起きた飛行機事故で、一人の男性が自らが助かるというその瞬間に、そばで力尽きそうな女性を先に助けさせ、自分は水の中に消えてしまうという出来事がありました。人間の本性とはそれほど美しいものなのです。
 私たちは、仲間のために尽くすという同志としてのつながりをもってみんなのために努力を惜しまないことで、すばらしい集団を築くことができるのです。

⑧信頼関係を築く

 心の通じあえる社員同士の結びつきを経営の基盤におくことが重要です。お互いが感謝と誠意をもって心を通わせ、信頼関係の上にたって仕事を進めていくのです。コンパや様々な行事は、全員が心をひらき、結びつきを強める機会として重要視されます。
 上司と部下の関係であっても、信頼関係のベースがあれば、お互い本音で言いたいことをはっきり言いあうことができます。それによって、問題点が誰の目にも明らかになって仕事がスムーズに運んでいくのです。
 こうした信頼関係を築くためには、日頃からみんなの心の結びつきをつくり上げるよう、お互いに努力することが必要です。

⑨完全主義を貫く

 よく90%うまくいくと「これでいいだろう」と妥協してしまう人がいます。しかし、そのような人には、完璧な商品・サービスは提供できません。「間違ったら消しゴムで消せばよい」というような安易な考えが根底にある限り、本当の意味で自分も周囲も満足できる成果を得ることはできません。
 最後の1%の努力を怠ったがために、受注を失ったり不良を出したりすることがあります。自分自身の努力をさらに実りあるものとするためにも、仕事では常にパーフェクトを求めなければなりません。

⑩真面目に一生懸命仕事に打ち込む

 一生懸命に働くということは、勤勉であるということであり、仕事に対する態度が常に誠実であるということです。
 私たちが本当に心から味わえる喜びというのは、仕事の中にこそあるものです。仕事をおろそかにして、遊びや趣味の世界で喜びを見出そうとしても、一時的には楽しいかもしれませんが、決して真の喜びを得ることはできません。人の一生の中で最も大きなウエイトを占める仕事において充実感が得られなければ、結局は物足りなさを感じることになるはずです。
 真面目に一生懸命仕事に打ち込み、何かを成し遂げたときにこそ、他には代えがたい喜びが得られるのです。

⑪地味な努力を積み重ねる

 大きな夢や願望をもつことは大切なことです。しかし、大きな目標を掲げても、日々の仕事の中では、一見地味で単純と思われるようなことをしなければならないものです。したがって、ときには「自分の夢と現実の間には大きな隔たりがある」と感じて思い悩むことがあるかもしれません。
 しかし、どのような分野であっても、すばらしい成果を見出すまでには、改良・改善への取り組み、基礎的な実験やデータの収集、足を使った受注活動などの地道な努力の繰り返しがあるのです。
 偉大なことは最初からできるのではなく、地味な努力の一歩一歩の積み重ねがあってはじめてできるということを忘れてはなりません。

⑫仕事を好きになる

 仕事をやり遂げるためには大変なエネルギーが必要です。そしてそのエネルギーは、自分自身を励まし、燃え上がらせることで起こってくるのです。
 そこで、自分が燃える一番よい方法は、仕事を好きになることです。どんな仕事であっても、それに全力を打ち込んでやり遂げれば、大きな達成感と自信が生まれ、また次の目標へ挑戦する意欲が生まれてきます。その繰り返しの中で、さらに仕事が好きになります。そうなればどんな努力も苦にならなくなり、すばらしい成果を上げることができるのです。
 こうした心境にまで高まってはじめて本当にすばらしい仕事を成し遂げることができるのです。

⑬ものごとの本質を究める

 私たちは一つのことを究めることによって初めて真理やものごとの本質を体得することができます。究めるということは一つのことに精魂込めて打ち込み、その核心となる何かをつかむことです。一つのことを究めた体験は、他のあらゆることに通じます。
 一見どんなにつまらないと思うようなことであっても、与えられた仕事を天職と思い、それに全身全霊を傾けることです。それに打ち込んで努力を続ければ、必ず真理が見えてきます。
 いったんものごとの真理がわかるようになると何に対しても、またどのような境遇に置かれようと、自分の力を自由自在に発揮できるようになるのです。

⑭渦の中心になれ

 仕事は自分一人ではできません。上司、部下をはじめ、周囲にいる人々と一緒に協力しあって行うのが仕事です。その場合には、必ず自分から積極的に仕事を求めて働きかけ、周囲にいる人々が自然と協力してくれるような状態にしていかなければなりません。これが「渦の中心で仕事をする」ということです。
 会社にはあちらこちらで仕事の渦が巻いています。気がつくと他の人が中心にいて、自分はそのまわりを回るだけで、本当の仕事の喜びを味わうことができないときがあります。自分が渦の中心になり、積極的に周囲を巻き込んで仕事をしていかなければなりません。

⑮率先垂範する

 仕事をする上で、部下やまわりの人々の協力を得るためには、率先垂範でなければなりません。人の嫌がるような仕事も真っ先に取り組んでいく姿勢が必要です。
 どんなに多くの、どんなに美しい言葉を並べたてても、行動が伴わなければ人の心をとらえることはできません。自分が他の人にしてほしいと思うことを、自ら真っ先に行動で示すことによって、まわりの人々もついてくるのです。
 率先垂範するには勇気と信念がいりますが、これを常に心がけ実行することによって、自らを高めていくこともできるのです。上に立つ人はもちろんのこと、すべての人が率先垂範する職場風土をつくりあげなければなりません。

⑯自らを追い込む

 困難な状況に遭遇しても、決してそこから逃げてはいけません。追い込まれ、もがき苦しんでいる中で、「何としても」という切迫感があると、ふだん見過ごしていた現象にもハッと気づき、解決の糸口がみつけられるものです。
 火事場の馬鹿力という言葉あるように、切羽詰まった状況の中で、真摯な態度でものごとにぶつかっていくことによって、人はふだんでは考えられないような力を発揮することができます。
 人間はえてして易き(やすき)に流れてしまいがちですが、常にこれ以上後にひけないという精神状態に自らを追い込んでいくことによって、自分でも驚くような成果を生み出すことができるのです。

⑰土俵の真ん中で相撲をとる

 「土俵の真ん中で相撲をとる」とは、常に土俵の真ん中を土俵際だと思って、一歩も引けないという気持ちで仕事にあたるということです。
 納期というものを例にとると、お客様の納期に合わせて製品を完成させると考えるのではなく、納期の何日も前に完成日を設定し、これを土俵際と考えて、渾身の力をふり絞ってその期日を守ろうとすることです。そうすれば、万一予期しないトラブルが発生しても、また土俵際までには余裕があるため、十分な対応が可能となり、お客様に迷惑をおかけすることはありません。
 このように私たちは、常に安全弁をおきながら、確実に仕事を進めていく必要があります。

⑱本音でぶつかれ

 責任をもって仕事をやり遂げていくためには、仕事に関係している人々が、お互いに気づいた欠点や問題点を遠慮なく指摘しあうことが必要です。
 ものごとを「なあなあ」で済まさずに、絶えず「何が正しいか」に基づいて本音で真剣に議論していかなければなりません。欠点や問題に気づいていながら、嫌われるのを恐れるあまり、それを指摘せずに和を保とうとするのは大きな間違いです。
 ときには口角泡を飛ばしてでも、勇気をもってお互いの考えをぶつけ合っていくことが大切です。こうした中から、本当の意味でお互いの信頼関係も生まれ、より良い仕事ができるようになるのです。

⑲私心のない判断を行う

 何かを決めようとするときに、少しでも私心が入れば判断はくもり、その結果は間違った方向へいってしまいます。
 人はとかく、自分の利益となる方に偏った考え方をしてしまいがちです。みんなが互いに相手への思いやりを忘れ、「私」というものを真っ先に出していくと、周囲の協力も得られず、仕事がスムーズに進んでいきません。また、そうした考え方は集団のモラルを低下させ、活動能力を鈍らせることにもなります。
 私たちは日常の仕事にあたって、自分さえよければという利己心を抑え、人間として正しいか、私心をさしはさんでいないかと、常に自問自答しながらものごとを判断していかなければなりません。

⑳バランスのとれた人間性を備える

 バランスのとれた人間とは、何事に対しても常に「なぜ」という疑問をもち、これを論理的に徹底して追求し、解明していく合理的な姿勢と、誰からも親しまれる円満な人間性をあわせもった人のことをいいます。
 いくら分析力に優れ合理的な行動を貫くスマートさを備えていても、それだけでは、まわりの人々の協力を得ることはできないでしょうし、逆にみんなからいい人だといわれるだけでは、仕事を確実に進めていくことはできません。
 私たちがすばらしい仕事をしていくためには、科学者としての合理性とともに、「この人のためなら」と思わせるような人徳を兼ね備えていなければなりません。

㉑知識よりも体得を重視する

 「知っている」ということと「できる」ということはまったく別です。
 本の上での知識や理屈と実際に起こる現象とは違うのです。経験に裏打ちされた、つまり体得したことによってしか本物を得ることはできません。
 このことは営業部門であれ、管理部門であれまったく同じで、こうしたベースがあってこそ、はじめて知識や論理が生きてくるのです。

㉒常に創造的な仕事をする

 与えられた仕事を生涯の仕事として一生懸命行うことは大切ですが、ただそれだけでよいということではありません。一生懸命取り組みながらも、常にこれでいいのか、ということを毎日毎日考え、反省し、そして改善、改良していくことが大切です。決して昨日と同じことを漫然と繰り返してはいけません。
 毎日の仕事の中で、「これでいいのか」ということを常に考え、同時に「なぜ」という疑問をもち、昨日よりは今日、今日よりは明日と、与えられた仕事に対し、改善、改良を考え続けることが創造的な仕事へとつながっていきます。こうしたことの繰り返しによってすばらしい進歩が遂げられるのです。

㉓利他の心を判断基準にする

 私たちの心には「自分だけがよければいい」と考える利己の心と、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があります。利己の心で判断すると、自分のことしか考えていないので、誰の協力も得られません。自分中心ですから視野も狭くなり、間違った判断をしてしまいます。
 一方、利他の心で判断すると「人によかれ」という心ですから、まわりの人みんなが協力してくれます。また視野も広くなるので、正しい判断ができるのです。
 より良い仕事をしていくためには、自分だけのことを考えて判断するのではなく、まわりの人を考え、思いやりに満ちた利他の心に立って判断すべきです。

㉔有意注意で判断力を磨く

 目的をもって真剣に意識を集中させることを有意注意といいます。
 私たちはどんなときでも、どんな環境でも、どんなささいなことであっても気を込めて取り組まなければなりません。最初は非常に難しいことのように見えますが、日頃、意識的にこれを続けていると、この有意注意が習慣になってきます。そうなれば、あらゆる状況下で気を込めて現象を見つめるという基本ができていますから、何か問題が起きても、すぐにその核心をつかみ、解決ができるようになります。
 ものごとをただ漫然とやるのではなく、私たちは、日常どんなささいなことにでも真剣に注意を向ける習慣を身につけなければなりません。

㉕フェアプレイ精神を貫く

「フェアプレイ精神」に則って正々堂々とビジネスを行うことが重要です。したがって、儲けるためには何をしてもよいとか、少しくらいのルール違反や数字のごまかしは許される、という考え方を最も嫌います。
 スポーツの世界でも、反則やルール違反のないゲームからさわやかな感動を受けるのは、フェアプレイ精神に基づいているからです。誰であっても、矛盾や不正に気づいたら正々堂々と指摘をすべきです。
 私たちの職場が常にさわやかで活気あふれたものであるためには、一人一人がフェアなプレイヤーであるとともに、厳しい審判の目をもつことが必要です。

㉖公私のけじめを大切にする

 仕事をしていく上では、公私のけじめをはっきりつけなければなりません。
 プライベートなことを勤務時間中に持ち込んだり、仕事上の立場を利用して取引先の接待を受けたりすること厳につつしまなければなりません。勤務時間中の私用電話を禁止したり、仕事を通じてのいただきものを個人のものとせず、みんなで分けあうのもそのためです。これは、ささいな公私混同でもモラルの低下を引き起こし、ついには会社全体を毒することになってしまうからです。
 私たちは、公私のけじめをきちんとつけ、日常のちょっとした心の緩みに対しても、自らを厳しく律していかなければなりません。

㉗潜在意識にまで透徹する強い持続した願望をもつ

 高い目標を達成するには、まず「こうありたい」という強い、持続した願望をもつことが必要です。
 お客様から注文をいただくなど、どんな課題であっても、まず「何としてもやり遂げたい」という思いを心に強烈に描くのです。
 純粋で強い願望を、寝ても覚めても、繰り返し繰り返し考え抜くことによって、それは潜在意識にまでしみ通っていくのです。このような状態になったときには、日頃頭で考えている自分とは別に、寝ているときでも潜在意識が働いて強烈な力を発揮し、その願望を実現する方向へと向かわせてくれるのです。

㉘人間の無限の可能性を追求する

 仕事において新しいことを成し遂げられる人は、自分の可能性を信じることのできる人です。現在の能力をもって「できる、できない」を判断してしまっては、新しいことや困難なことなどできるはずはありません。人間の能力は、努力し続けることによって無限に拡がるのです。
 何かをしようとするとき、まず「人間の能力は無限である」ということを信じ、「何としても成し遂げたい」という強い願望で努力を続けることです。
 常に自分自身のもつ無限の可能性を信じ、勇気をもって挑戦するという姿勢が大切です。

㉙チャレンジ精神を持つ

 人はえてして変化を好まず、現状を守ろうとしがちです。しかし新しいことや困難なことにチャレンジせず、現状に甘んじることは、すでに退歩が始まっていることを意味します。
 チャレンジというのは高い目標を設定し、現状を否定しながら常に新しいものを創り出していくことです。チャレンジという言葉は勇ましく非常にこころよい響きをもつ言葉ですが、これには裏づけが必要です。困難に立ち向かう勇気とどんな苦労も厭わない忍耐、努力が必要なのです。

㉚もうダメだというときが仕事のはじまり

 ものごとを成し遂げていくものとは、才能や能力というより、その人のもっている熱意や情熱、さらには執念です。すっぽんのように食らいついたら離れないというものでなければなりません。もうダメだ、というときが本当の仕事のはじまりなのです。
 強い熱意や情熱があれば、寝ても覚めても四六時中そのことを考え続けることができます。それによって、願望は潜在意識へ浸透していき、自分でも気づかないうちに、その願望を実現する方向へと身体が動いていって、成功へと導かれるのです。
 すばらしい仕事を成し遂げるには、燃えるような熱意、情熱をもって最後まであきらめずに粘り抜くことが必要です。

㉛信念を貫く

 仕事をしていく過程には、さまざまな障害がありますが、これをどう乗り越えていくかによって結果は大きく違ってきます。
 何か新しいことをしようとすると、反対意見やいろいろな障害が出てくるものです。そのようなことがあると、すぐに諦めてしまう人がいますが、素晴らしい仕事をした人は、すべてこれらの壁を、高い理想に裏打ちされた信念でもってつき崩していった人たちです。そうした人たちは、これらの障害を試練として真正面から受け止め、自らの信念を高く掲げて進んでいったのです。
 信念を貫くにはたいへんな勇気が必要ですが、これがなければ革新的で創造的な仕事はできません。

㉜楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する

 新しいことを成し遂げるには、まず「こうありたい」という夢と希望をもって、超楽観的に目標を設定することが何よりも大切です。
 天は私たちに無限の可能性を与えているということを信じ、「必ずできる」と自らに言い聞かせ、自らを震い立たせるのです。しかし、計画の段階では、「何としてもやり遂げなければならない」という強い意志をもって悲観的に構想を見つめなおし、起こりうるすべての問題を想定して対応策を慎重に考え尽くさなければなりません。
 そうして実行段階においては、「必ずできる」という自信をもって、楽観的に明るく堂々と実行していくのです。

㉝真の勇気をもつ

 仕事を正しく進めていくためには勇気が必要です。ふだん私たちは、周囲の人から嫌われまいとして、言うべきことをはっきり言わなかったり、正しいことを正しく貫けなかったりしてしまいがちです。
 仕事を誤りなく進めていくためには、要所要所で正しい決断をしなければなりませんが、その決断の場面では、勇気というものが必要となります。しかし、そこでの勇気とは、蛮勇、つまり粗野で豪傑と言われる人のもっている勇気とは違います。
 真の勇気とは、自らの信念を貫きながらも、節度があり、怖さを知った人、つまりビビリをもった人が場数を踏むことによって身につけたものでなければなりません。

㉞闘争心を燃やす

 仕事は真剣勝負の世界であり、その勝負には常に勝つという姿勢でのぞまなければなりません。
 しかし、勝利を勝ち取ろうとすればするほど、さまざまなかたちの困難や圧力が襲いかかってきます。このようなとき、私たちはえてして、ひるんでしまったり、当初抱いていた信念を曲げてしまうような妥協をしがちです。こうした困難や圧力をはねのけていくエネルギーのもとはその人のもつ不屈の闘争心です。格闘技にも似た闘争心があらゆる壁を突き崩し、勝利へと導くのです。
 どんなにつらく苦しくても、「絶対に負けない、必ずやり遂げてみせる」という激しい闘志を燃やさなければなりません。

㉟自らの道は自ら切りひらく

 私たちの将来は誰かが保証してくれるものでもありません。たとえ今、会社の業績がすばらしいものであったとしても、現在の姿は過去の努力の結果であって、将来がどうなるかは誰にも予測できないのです。
 将来にわたって、すばらしい会社にしていくためには、私たち一人一人が、それぞれの持ち場・立ち場で自分たちの果たすべき役割を精一杯やり遂げていくしかありません。
 誰かがやってくれるだろうという考え方で人に頼ったり、人にしてもらうことを期待するのではなく、まず自分自身の果たすべき役割を認識し、自ら努力してやり遂げるという姿勢をもたなければなりません。

㊱有言実行でことにあたる

 世の中ではよく、「不言実行」が美徳とされますが、「有言実行」を大切にしていくことが重要です。
 まず自らが手を挙げて「これは自分がやります」と名乗りを上げ、自分が中心となってやることを周囲に宣言してしまうのです。そう宣言することで、まわりと自分の両方からプレッシャーをかけ、自分自身を奮い立たせるとともに、自らを追い込んでいくことによって、目標の達成がより確実となるのです。
 朝礼やミーティングなど、あらゆる機会をとらえて進んで自分の考えをみんなの前で明 らかにすることにより、その言葉で自らを励ますとともに、実行のエネルギーとするのです。

㊲見えてくるまで考え抜く

 私たちが仕事をしていく上では、その結果が見えてくるというような心理状態にまで達していなければなりません。
 最初は夢や願望であったものが、真剣にこうして、ああしてと何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返していると、ついには夢と現実との境がなくなり、まだやってもいないことまでもが、あたかもやれたかのように感じられ、次第にやれるという自信が生まれてきます。これが「見える」という状態です。
 こうした「見える」状態になるまで深く考え抜いていかなければ、前例のない仕事や、創造的な仕事、いくつもの壁が立ちはだかっているような困難な仕事をやり遂げることはできません。

㊳成功するまであきらめない

 成功するかしないかは、その人のもっている熱意と執念に強く関わっています。何をやっても成功しない人には熱意と執念が欠けているのです。体裁のいい理由をつけ、自分を慰め、すぐあきらめてしまうのです。
 何かを成し遂げたいときには、狩猟民族が獲物を捕らえるときのような手法をとることです。つまり獲物の足跡を見つけると、槍一本をもって何日も何日も追い続け、どんなに雨風が吹こうと、強敵が現れようと、その住処を見つけ、つかまえるまでは決してあきらめないというようないき方です。
 成功するには、目標達成に向かって粘って粘って最後まであきらめずにやり抜くということが必要です。

㊴人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

 人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の三つの要素の掛け算で決まります。
 このうち能力と熱意は、それぞれ零点から百点まであり、これが積で掛かるので、能力を鼻にかけ努力を怠った人よりは、自分には普通の能力しかないと思って誰よりも努力した人の方が、はるかにすばらしい結果を残すことができます。これに考え方が掛かります。考え方とは生きる姿勢でありマイナス百点からプラス百点まであります。考え方次第で人生や仕事の結果は百八十度変わってくるのです。
 そこで能力や熱意とともに、人間としての正しい考え方をもつことが何よりも大切になるのです。

㊵一日一日をど真剣に生きる

 人生はドラマであり、一人一人がその主人公です。大切なことは、そこでどういうドラマの脚本を描くかです。
 運命のままにもてあそばれていく人生もあるかも知れませんが、自分の心、精神というものをつくっていくことによって、また変えていくことによって、思いどおりに書いた脚本で思いどおりの主人公を演じることもできるのです。人生というのは、自分の描き方ひとつです。ボケっとして生きた人と、ど真剣に生きた人とでは、脚本の内容はまるで違っていきます。
 自分というものを大事にし、一日一日、一瞬一瞬をど真剣に生きていくことによって、人生はガラッと変わっていくのです。

㊶心に描いたとおりになる

 ものごとの結果は、心に何を描くかによって決まります。「どうしても成功したい」と心に思い描けば成功しますし、「できないかもしれない、失敗するかもしれない」という思いが心を占めると失敗してしまうのです。
 心が呼ばないものが自分に近づいてくることはないのであり、現在の自分の周囲に起こっているすべての現象は、自分の心の反映でしかありません。
 ですから、私たちは、怒り、恨み、嫉妬心、猜疑心など否定的で暗いものを心に描くのではなく、常に夢をもち、明るく、きれいなものを心に描かなければなりません。そうすることにより、実際の人生もすばらしいものになるのです。

㊷夢を描く

 現実は厳しく、今日一日を生きることさえ大変かもしれません。しかし、その中でも未来に向かって夢を描けるかどうかで人生は決まってきます。自分の人生や仕事に対して、自分はこうありたい、こうなりたいという大きな夢や高い目標をもつことが大切です。
 高くすばらしい夢を描き、その夢を一生かかって追い続けるのです。それは生きがいとなり、人生もまた楽しいものになっていくはずです。

㊸動機善なりや、私心なかりしか

 大きな夢を描き、それを実現しようとするとき、「動機善なりや」ということを自らに問わなければなりません。自問自答して、自分の動機の善悪を判断するのです。
 善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは誰から見てもそうだということです。自分 の利益や都合、格好などというものでなく、自他ともにその動機が受け入れられるものでな ければなりません。また、仕事を進めていく上では「私心なかりしか」という問いかけが必 要です。自分の心、自己中心的な発想で仕事を進めていないかを点検しなければなりません。
 動機が善であり、私心がなければ結果は問う必要はありません。必ず成功するのです。

㊹純粋な心で人生を歩む

 古代インドのサンスクリット語で「偉大な人物の行動の成功は、その行動の手段によるよりも、その人の心の純粋さによる」というある聖人の言葉が残されています。純粋な心とは言い換えれば、物ごとを行うときの動機が純粋であり、私心がないということと同じです。またそれは、人間として何が正しいのかということとも共通しています。
 純粋な心を身につけることによって、私たちは間違いのない人生を歩んでいくことができます。純粋で私心のない心、すなわち人間として高い見識や見解を判断基準として物ごとを決め、人生を歩めば、その人の人生に大きな潤いとすばらしい結果をもたらすのです。

㊺小善は大悪に似たり

 人間関係の基本は、愛情をもって接することにあります。しかし、それは盲目の愛であったり、溺愛であってはなりません。
 上司と部下の関係でも、信念もなく部下に迎合する上司は、一見愛情深いように見えます が、結果として部下をダメにしていきます。これを小善といいます。「小善は大悪に似たり」 と言われますが、表面的な愛情は相手を不幸にします。逆に信念をもって厳しく指導する上 司は、けむたいかもしれませんが、長い目で見れば部下を大きく成長させることになります。これが大善です。
 真の愛情とは、どうあることが相手にとって本当に良いのかを厳しく見極めることなのです。

㊻反省のある人生をおくる

 自分自身を高めようとするなら、日々の判断や行為がはたして「人間として正しいものであるかどうか、驕り高ぶりがないかどうか」を常に謙虚に厳しく反省し、自らも戒めていかなければなりません。
 本来の自分にたち返って、「そんな汚いことをするな」「そんな卑怯な振る舞いはするな」と反省を繰り返していると、間違いをしなくなるのです。
 忙しい日々を送っている私達は、つい自分を見失いがちですが、そうならないためにも、意識して反省をする習慣をつけなければなりません。そうすることによって、自分の欠点を直し、自らを高めることができるのです。

7.高収益体質の企業を創る

地域を創造する主体である当社は高収益を実現しなければなりません。なぜ高収益である必要があるのか?

『利益とは社会に貢献したことの証しである。松下幸之助

利益は、私達の商品・サービスがお客様から受け入れられ、喜んでいただいた証拠です。利益が出るということは会社が評価され、世のため、お客様のためになっている証拠なのです。

高収益体質の企業となることで、以下の3つのことが実現できます。

①社員の待遇改善

給与や賞与をより多く支給したり、会社の福利厚生を充実させたりするためには、そのための原資が必要であり、それが利益です。社員の物心両面の幸せを実現するためには、利益は必要不可欠です。

②会社の更なる発展への投資

当社は地域創造カンパニーとして発展し続けます。持続的な成長を図るためには、将来への投資が不可欠です。次世代を背負う人財への投資、設備への投資、新たな事業へのチャレンジなど未来への投資に回すために、利益は必要です。

③内部留保の充実

松下幸之助氏は、「ダム式経営」を唱えられました。景気の変動にただ身を任せるのでは

なく、経営においてもダムを作って水を蓄えるように資金を蓄積し、必要量だけを使っていく、そういう余裕のある経営をすべきという考え方です。常に「土俵の真ん中で相撲をとる」ために、利益を出し、それを内部に溜めていく必要があります。

それでは高収益体質であるには、どのようなことに取り組むべきか、稲盛和夫氏の教えを5 つ記載します。

①売上を極大に、経費を極小に

経営とは非常にシンプルなもので、その基本はいかにして売上を大きくし、いかにして使う経費を小さくするかということに尽きます。利益とはその差であって、結果として出てくるものにすぎません。したがって私達はいつも売上をより大きくすること、経費をより小さくすることを考えていればよいのです。売上極大、経費極小のための努力を、日々創意工夫をこらしながら粘り強く続けていくことが大切なのです。

②値決めは経営

経営の死命を制するのは値決めです。値段というのは、高すぎても売れないし、安すぎても利益がなくなってしまいます。ですから、お客様が喜んでくださる一番高い値段で値決めをしなくてはならないのです。値決めは慎重さを要する経営の最も重要な要素であ り、心血を注いで決めるべきものです。

③日々採算をつくる

 経営というものは、月末に出てくる採算表を見て行うのではありません。細かい数字の集積であり、毎日の売上や経費の積み上げで月次の採算表がつくられるのですから、日々採算をつくっているのだという意識をもって経営にあたらなければなりません。採算表は一人一人の毎日の生きざまが累積した結果であるということを忘れてはなりません。

④能力を未来進行形でとらえる

 新たな目標を立てるときは、あえて自分の能力以上のものを設定しなければなりません。今はとてもできそうもないと思われる高い目標を、未来の一点で達成するということを決めてしまうのです。そして、その一点にターゲットを合わせ、現在の自分の能力を、その目標に対応できるようになるまで高める方法を考えるのです。

⑤目標を周知徹底する

 目標を達成するためには、その目標が全員に周知徹底されていなければなりません。つまり全員が目標を共有化し、自分たちのものになっていることが必要なのです。職場の誰に聞いても即座にその数字が口をついて出てこなければいけません。目標を全員に周知徹底し、共有化を図ることによって一人一人の参画意識が高められ、これが一丸となって目標達成に向かうエネルギーとなるのです。

8.経営のこころ

当社を経営していくにあたり大切にしていく「こころ」を以下に明記します。

①心をベースとして経営する

 会社の発展のために一人一人が精一杯努力する、経営者も命をかけてみんなの信頼にこたえる、働く仲間のそのような心を信じ、私利私欲のためではない、社員のみんなが本当にこの会社で働いて良かったと思う、すばらしい会社を目指して経営を行っていきます。人の心はうつろいやすく変わりやすいものと言われますが、また同時にこれほど強固なものもありません。この強い心のつながりをベースにする経営を実践していきます。

②公明正大に利益を追求する

 会社は利益を上げなければ成り立ちません。利益を上げることは恥ずべきことでもなければ、人の道に反したことでもありません。自由市場において、競争の結果で決まる価格は正しい価格であり、その価格で堂々と商いをして得られる利益は正しい利益です。厳しい価格競争のなかで合理化を進め、付加価値を高めていく努力が利益の増加を生むのです。
 お客様の求めに応じて努力を積み上げることをせずに、投機や不正で暴利を貪り、一攫千金を夢見るような経営がまかり通る世の中ですが、公明正大に事業を行い、正しい利益を追求し、社会に貢献していきます。

③お客様第一主義を貫く

 お客様が望まれるような価値をもった商品・サービスを次々と生み出し、お客様の満足を得なければなりません。お客様のニーズに対して、今までの概念をくつがえして、徹底的にチャレンジしていくという姿勢が要求されます。お客様に喜んでいただくことは商いの基本であり、そうでなければ利益を上げ続けることはできません。

④大家族主義で経営する

 人の喜びを自分の喜びとして感じ、苦楽を共にできる家族のような信頼関係を大切に経 営します。この家族のような関係は、お互いに感謝しあうという気持ち、お互いを思いやる という気持ちとなって、これが信じあえる仲間をつくり、仕事をしていく基盤となります。 家族のような関係ですから、仲間が仕事で困っているときには、理屈抜きで助けあえますし、プライベートなことでも親身になって話しあえます。
 人の心をベースとした経営は、とりもなおさず家族のような関係を大切にする経営でもあるのです。

⑤実力主義に徹する

 組織を運営していく上で最も重要なことは、それぞれの組織の長に本当に力のある人がついているかどうかということです。
 本当に力のある人とは、職務遂行の能力とともに、人間として尊敬され、信頼され、みんなのために自分の力を発揮しようとする人です。こうした人が組織の長として場や機会を与えられ、その力を十分に発揮できるような組織風土でなければなりません。こうした実力主義によって組織の運営が行われれば、その組織は強化され、ひいてはみんなのためになっていきます。
 年功や経歴といったものではなく、その人がもっている真の実力がすべてを測る基準にしていきます。

⑥パートナーシップを重視する

 心の通じあえる、信頼できる仲間づくりを目指し、これをベースに仕事にあたります。したがって社員どうしは、経営者と社員という縦の関係ではなく、一つの目的に向かって行動を共にし、自らの夢を実現していく同志の関係、つまりパートナーシップという横の関係が基本にしていきます。
 一般にありがちな権力に基づく上下関係ではなく、志を同じくした仲間が心を一つにして会社を運営していくことが発展に繋がります。
 これはパートナーとしてお互いを理解しあい、信頼しあえる人間同士の結びつきとなったからこそ可能となるのです。

⑦全員参加で経営する

 当社では、小集団の組織を経営の単位とするアメーバ経営を行っていきます。各アメーバは自主独立で経営されており、そこでは誰もが自分の意見を言い、経営を考え、それに参画することができます。一握りの人だけで経営が行われるのではなく、全員が参加するところにその神髄があります。この経営への参加を通じて一人一人の自己実現が図られ、全員の力が一つの方向にそろったときに集団としての目標達成へとつながっていきます。
 全員参加の精神は、日頃のひらかれた人間関係や仲間意識、家族意識を培う場として、仕事と同じように大切にしてきた会社行事やコンパなどにも受け継がれていきます。

⑧ベクトルを合わせる

 人間にはそれぞれ様々な考え方があります。もし社員一人一人がバラバラな考え方に従って行動したらどうなるでしょうか。
 それぞれの人の力の方向(ベクトル)が揃わなければ力は分散してしまい、会社全体としての力とはなりません。このことは、野球やサッカーなどの団体競技を見ればよくわかります。全員が勝利に向かって心を一つにしているチームと、各人が「個人タイトル」という目標にしか向いていないチームとでは、力の差は歴然としています。
 全員の力が同じ方向に結集したとき、何倍もの力となって驚くような成果を生み出します。1+1が5にも10にもなるのです。

⑨ガラス張りで経営する

 当社では、信頼関係をベースとして経営が行われています。そこでは、経理面をはじめ、すべてのことがオープンになっており、何ら疑いを差し挟む余地のないシステムを構築していく必要があります。
 その一つの例として、「時間当たり採算制度」では全部門の経営成績が全社員に公開されています。自分たちのアメーバの利益がいくらで、その内容はどうなのかが誰にでも容易に理解できるようになっています。一方、一人一人も同じように心をひらき、オープンに仕事をすることを求められています。
 このように社内がガラス張りであることによって、私たちは全力で仕事に取り組むことができるのです。

⑩高い目標を持つ

 高い目標を設定する人には大きな成功が得られ、低い目標しかもたない人にはそれなりの結果しか得られません。自ら大きな目標を設定すれば、そこに向かってエネルギーを集中させることができ、それが成功のカギとなるのです。
 明るく大きな夢や目標を描いてこそ、想像もつかないような偉大なことが成し遂げられるのです。

9.原理原則を徹底する

『基本と原則に反するものは例外なく破綻する。

「マネジメント」の祖であるピーター・ドラッカーの言葉です。

人生で、仕事で成功するために、どんな時代、どんな環境であろうと変わらない普遍的な原理があります。地道に絶え間なく、この原理原則を徹底して実践していくことがあなたを、そして会社を成功へと導きます。

『人格は繰り返す行動の総計である。それ故に優秀さは単発的な行動にあらず習慣であ  る。』   アリストテレス

原理原則を習慣化して、当たり前のようにできるようなる。その原理原則を定めたものが、グローカルWAY、グローカルプロセスです。私達は、グローカルWAY、グローカルプロセスを徹底して実践することで、自らの心を高め、スキルを磨き、経営を伸ばします。

10.信念を頼り未来を切りひらく

グローカルフィロソフィを締めくくるにあたり、私の心の拠り所としている言葉を記します。

『一燈(いっとう)を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め。』

(佐藤一斎「言志晩録」13条)

暗い夜道を一つの提灯を提げて行く。どんなに暗くても心配する必要はない。ただその一つの灯火(自分の信念)を信頼して進めばよいのだ。

地域創造カンパニーという信念を頼り、私達の信じる道を、私達の信じる未来を切り拓いていきましょう。

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